
フィリピン現大統領のドゥテルテ氏がいろいろと話題になっているフィリピンですが、フィリピンの歴代大統領をご存知でしょうか?
実は、フィリピンの歴代大統領はドゥテルテ氏を含めたったの16名しかいません。これには、フィリピンが長い間スペインやアメリカに植民地として支配されていた歴史や、20年間も独裁政治を行った大統領がいたこと等が関係しています。
また、フィリピンの歴代大統領の中でも「英雄」といわれている人物はフィリピンペソ紙幣に肖像が載っているので覚える上でわかりやすいでしょう。
フィリピンの初代大統領
《写真参照元:https://pichori.net/Philippines/banknotes/1985_5piso.html》
フィリピンの初代大統領は、革命家のエミリオ・アギナルド氏(1899年~1901年)。スペインからの植民地支配を打倒し、1898年6月12日にフィリピン共和国独立を宣言した人物です。しかしフィリピンはスペインから開放された直後、アメリカの植民地となります。フィリピン独立を援助するといっていたアメリカが、まさかの裏切りをみせスペインからフィリピンの領有権を約2000万ドルで奪ったのです。これに怒ったフィリピン側はアメリカとの戦争を決意し米比戦争に発展したのですが、この戦争でアギナルド大統領は捕らえられフィリピン第一共和国は崩壊しました。アギナルド大統領は1987年より発行されていた旧紙幣(5ペソ)に肖像が載っています。
フィリピンの2~9代大統領
フィリピンの2代大統領が誕生したのは、1935年。1934年にアメリカ議会で制定された「フィリピン独立法(1946年にフィリピンの独立を認めた法律)」により独立準備政府が発足し、普通選挙によってマニュエル・ケソン(1935年~1944年)氏が2代大統領に就任しました。ケソン大統領はタガログ語を国語と定めるなど様々な功績を残したことから現在のケソン市にその名をとどめていたり、20ペソ紙幣にも肖像が載っています。
1946年の独立の準備にあたった仮政府の間(フィリピン第二共和国時代)、3代大統領に就任したのはホセ・ラウレル氏(1943年~1945年)。その後、
・4代大統領 セルヒオ・オスメニャ(1944年~1946年) ※50ペソ紙幣の人物
・5代大統領 マニュエル・ロハス (1946年~1948年) ※100ペソ紙幣の人物
・6代大統領 エルピディオ・キリノ(1948年~1953年)
・7代大統領 ラモン・マグサイサイ (1953年~1957年)
・8代大統領 カルロス・ガルシア (1957年~1961年)
・9代大統領 ディオスダド・マカパガル (1961年~1965年)
と数々の大統領が政権をとりました。
10代大統領マルコスの独裁政権
フィリピンの歴代大統領の中でも史上最悪の政治家といわれているのが、10代大統領のフェルディナンド・マルコス氏。マルコス大統領は憲法を停止させ国民の自由を奪い、1965~86年の20年間独裁政治を行いました。
独裁政治の終止符を打つきっかけをつくったのは、当時国民から大変支持を得ていた大統領候補者ベニグノ・アキノ・ジュニア氏(愛称:ニノイ)。ニノイ氏は独裁政治に反対する政治家たちが海外逃亡を余儀なくされる中、命の危険を脅かされていたにも関わらず勇気を振り絞り大統領選挙への立候補を行うためにフィリピンへ帰国します。しかしマニラ空港に到着後、暗殺されてしまうのです。ニノイ氏の死をきっかけにマルコス政権反体派がエドゥサ革命(フィリピンの民主化を実現させた革命)を勃発し、マルコスはハワイに亡命してマルコスの独裁政権時代に終止符を打ちます。
因みに、マニラ空港がニノイ・アキノ国際空港と名づけられているのはこの事件があったからです。当然、マルコスは紙幣には載っていません。
500ペソ紙幣に載っているニノイ氏とコリー大統領
11代大統領に就任したのは、なんとニノイ氏の妻であったコラソン・アキノ氏(愛称:コリー)。コリー氏は次期大統領有力候補だった夫の遺志を継ぎ、反マルコスを主張し続け、民衆の支持を得て大統領に就任したのです。
コリー氏は就任した翌年には新憲法を成立させ、現代フィリピンの礎を築きました (1986年~1992年)。
その功績から、500ペソ紙幣にはニノイ氏とコリー夫婦の肖像が載っており、息子ノイノイの署名も記載されています。
その後の歴代大統領
アキノ大統領の後、12代大統領に就任したのはフィデル・ラモス (1992年~1998年)氏。その後映画俳優出身のジョセフ・エストラダ (1998年~2001年)氏が13代大統領になりますが、不正蓄財疑惑で退陣に追い込まれ任期途中で14代大統領ロリア・マカパガル・アロヨ (2001年~2010年)氏に交代します。アロヨ氏は9代大統領であるマカバガルの実の娘でアロヨ政権は9年に及びましたが、汚職疑惑がつきまとい、国内の貧富格差は広がりをみせました。
しかし、その後15代大統領となったのはなんと射殺されたニノイ・アキノと11代目大統領であるコリー・アキノの実の息子であるベニグノ・アキノ3世 (2010年~2016年)。「ノイノイ」という愛称で親しまれ、圧倒的な人気で大統領に就任し、2016年の任期満了までその職を務めました。
そして16代大統領は、現在のロドリゴ・ドゥテルテ氏となります。